日本の百科事典

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インド太平洋
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インド太平洋(インドたいへいよう、英語:Indo-Pacific)とは、インド洋から太平洋(特に西太平洋)にかけての暖流域のこと。

インド太平洋(インドたいへいよう、英語:Indo-Pacific)とは、インド洋から太平洋(特に西太平洋)にかけての暖流域のこと。アフリカ東部沿岸およびマダガスカル付近から、二つの大洋の間にあるフィリピンインドネシア周辺の海域を経て、オセアニアの東縁までの範囲に渡る。

生物地理学海洋学海洋生物学などの分野で用いられるほか、日本アメリカ合衆国オーストラリアインド東南アジア諸国などのインド洋・太平洋に関係する諸国の外交戦略の対象地域としても用いられる。

インド洋

インド洋は、インドパキスタンバングラデシュミャンマースリランカから、西はアラビア半島およびアフリカに接し、紅海とつながる。東はマレー半島スマトラ島ジャワ島オーストラリア、南は南極海に囲まれる。主なチョークポイントは、バブ・エル・マンデブ海峡ホルムズ海峡マラッカ海峡スエズ運河の南側入り口、ロンボク海峡アンダマン海アラビア海ベンガル湾グレートオーストラリア湾アデン湾オマーン湾ラッカディブ海モザンビーク海峡ペルシャ湾紅海を含む。

太平洋

太平洋地球表面のおよそ3分の1を占める世界最大の海洋であり、面積はおよそ1億6525万平方キロメートルである[1]。太平洋はマラッカ海峡インド洋 とつながり、東南部にあるドレーク海峡およびマゼラン海峡大西洋とつながり、北部のベーリング海峡北極海とつながる[2]。付属海は、北からベーリング海オホーツク海日本海黄海フィリピン海東シナ海南シナ海スールー海セレベス海ジャワ海フロレス海バンダ海アラフラ海サンゴ海タスマン海。主な海流に黒潮親潮カリフォルニア海流北赤道海流ペルー海流などがある。

インド洋と太平洋に共通して分布しながら、大西洋には分布しない海洋生物は非常に多い。それらの分布などに言及する場合や、それらの生物相を総じて表現する場合に用いられる。具体的には、そのような生物の分布域を示す場合に「インド太平洋」と記したり、それらの生物種を「インド太平洋種」と呼んだりする。これらインド太平洋種には非常に多くの海洋生物が含まれる。また、海と沿岸河回遊する生物にも同様の分布を示すものが多い。

日本近海に見られる海洋生物の場合、寒流親潮)要素、暖流(黒潮)要素、極東要素の3要素に大別できるが、このうち黒潮要素のものがほぼインド太平洋種に相当する。

ただし同じ太平洋でも東太平洋、すなわち南北アメリカ西岸域にはやや異なった生物相が見られ、インド洋と西太平洋ほど共通した生物は見られない。また大西洋では、生物相を含む自然環境においてインド洋や太平洋と共通するものが少ないため「インド大西洋」や「大西太平洋」といった言い方は普通はなされない。インド洋・太平洋・大西洋のすべてに共通する種の場合は、世界的に分布する陸生生物と同様に汎存種(コスモポリタン種、広汎種)などと呼ばれる。

言語学の分野ではジョーゼフ・グリーンバーグが1971年にインド・太平洋大語族を提唱した。この場合の「インド」は、太平洋の語と対になっていることから、インド・ヨーロッパ語族という場合のインドではなく、上記の自然科学用語と同様に「インド洋」の省略形と受け取れる。ただしこの語族は研究者らにはほとんど受け入れられていない。

 

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